愛生の母さんが来て、教えてくれた。
「この子ね、昔っから丈夫な体して。
外で花摘んでは”この花の花言葉って何?”の繰り返しで」
昔っから、ね。
花なんて愛生には不似合いだと思ってたのに、意外と乙女なトコもあるんだな、
とこっそり感激している自分がいたりした。
(しかも、外行って摘んでくるんだし!!)
「ま~愛生のおかげで私も花言葉がわかったし、今日も
『再会』って言ってばっかりで、サネカズラを採ってきたの」
この頃は話せても花言葉程度で、摘めるものなら摘んできているらしい。
なんと娘想いな母なんだろう、と感心してもいた。
「きっと、あなたたちに会いたがってたのね」
涙を隠していた目には、いろんな事が光っていた。
……愛生は、母子家庭。
父は病気で亡くなった。
愛生から聞いたことがあって、きっとこの人は怖がってるんだろう。
なのに、何も言えず、話をただ聞くだけだった。
「もう残りわずかかもしれないけど……この子と仲良くしてあげてね」
そう言われて、話が終わった。
それをタイミングとして、帰ることにした。