それから、バス乗ってしばらく歩いた。
…制服で来るんじゃなかった。
学ランてかなり移動しにくい。
しかし、時はすでに遅し。
「と~~ちゃ~~~~~~~く!!!」
うるせーうるせーー。
で、その後も少しだけ歩いた。
「……」
さっきはうるさかった歌奈も、かなり落ち着いた。
目の前の直方体。
俺らの歳にはまだ早すぎる。
……墓石。
そして供えられた花は勿忘草がほとんど。
そこに、歌奈がサネカズラを供えた。
「私を……忘れないで」
手を合わせている時、実夏がそっと呟いた。
『私を忘れないで』。オマエもな。
俺は心の中で、笑いながらいつもみたいに言った…つもりだった。