「ワタル……見て……」
 ナオが絶望的な声を出した。何事かと思い、ナオが指差している目の前の棚を見た。
「あれ……売り切れなのかな」
 いつものプリンがおいてある棚は空っぽだった。
「ぷりん、ないのか?」
 ナオは涙目でそう聞いてきた。
「いつものはないけど、ちがうプリンならあるから」
 オレは思わずナオの頭を撫でた。プリンがないぐらいで泣くとは本当に子供だな。
「ちがうぷりん? 食べていいぷりん!」
 ナオの顔に笑顔が広がり、棚にあったミカンのゼリーをつき出された。まだ買うとも食べていいとも言ってないのに一人で舞い上がっている。
「これ、色似てるからぷりん」
「はいはい」
 ここで買わないとは言えないのでナオからゼリーを受け取った。続けてナオは牛乳プリンとマンゴーのヨーグルトをオレに渡してきた。いつも三個のプリンを買っているから違うプリンも三個買えると思っているらしい。
 数は一緒だけど、いつも三個で百円なのに、今日は三個で三百円以上だ。
 一個にするように言おうかと思ったが、ちがうプリンと言ってはしゃぐナオを見ていたら今日ぐらいはいいかと思った。