オレが何者か聞く前に少女はそう言った。さっきの低い声ではなく、今度は可愛らしい声だった。
 ちゃんと日本語喋っている気がするから、きっと言葉は通じているのだろう。
「えっと、君は?」
 一応聞いてみる。
「ナオはナオだ」
 答えてくれたけどちゃんと通じあっているかは謎。ナオとは名前だろうか。
 まぁいいや。信じがたいけど少女は普通の人間とはちょっと違うみたいだ。深く関わる前に逃げよう。
「お前、助けてくれないか」
 じゃあねと言おうとした瞬間、少女が先にそう言った。

 これが、オレとナオの出会いであり、二人の変な生活の始まりだった。