夜の街をがむしゃらに走っていた。
 終電も終わった時間で、人通りが少なくなっている。これならすぐにナオを見つけられると思ったけど、中々ナオは見つからなかった。
「ナオ……」
 会いたい。
 ナオに会いたい。
 オレは今まで生きてきた中でこんな風に思ったのは初めてだった。今まで彼女が出来たことが一度もないわけじゃない。でも、こんな気持ちになるまで好きになったのはナオが初めてだ。
 どうしてナオなんだろう。
 それは、わからない。けど、あの日出会いはきっと運命だった。
 走って、走って、足にまめが出来るほど走った。
 途中で転んで怪我をした。手に擦り傷を作るなんていつ振りだろうなんてどうでもいいことを考えた。
 走っても、走ってもナオは見つからない。
 ナオがどこにいるのかわからない。