「待て」
「何か?」
 ベッドから降り、着替えるためにタンスに向かったオレにペットは険しい目を向けてきた。
「ワタルはナオのこと好きか?」
「……」
 ナオのこと。
「ナオを大事に出来ないなら、探さなくていい。今日テラが星に帰って、ナオは死を待つだけだ」
「出来る!」
 自分でもびっくりするぐらい大きな声が出た。
「ナオは、オレにとって大事な人だ。例え人間でなくても、オレはナオのことが好きだ!」
 間抜けで、大食いで、言っていることはよくわからないけど、純粋で、可愛くて、いつの間にかナオはオレにとって大切な人になっていた。
「ナオはこれから年を取る。いや、ここ数週間でもうだいぶ成長してしまった。そして、きっとワタルより早く死ぬ。……それでもいいのか」
「いい。ナオはナオだ」
 外見なんて関係ない。一緒にいて楽しかった。嬉しかった。そんなの、ナオが初めてだった。
 ナオがいなければ、オレの世界は全て色あせてしまう。
「……幸せにしてやってくれ」
 ペットはそう言うとオレの前から姿を消した。