ネコっぽいけど角と羽が生えた変な生き物だった。
 ナオはうなずいて話を続けた。
「仕事が出来ていないナオには二つの選択肢があった。一つは、人間になること。人間になって、成長し、いつか死ぬこと。人間になれば、ナオの星の言葉はもうしゃべれないし、聞き取れない。ずっと知り合いのいないこの星で暮らすしかない。もう一つは……」
 ナオがオレの目をしっかりと見て言った。
「ワタルを食べて、仕事を続けること」
 オレを、食べる?
「ナオは、オレを食べに戻ってきたのか?」
 ナオは頭を振った。
「ナオは、人間になることにした。ワタルを殺すことは出来ない」
 ナオは、そう言うと微笑んだ。
「今まで、ありがとう」
 それは、最後の別れの言葉のようだった。
「待って、ナオ。それならこれからまた一緒に暮らせばいいだろ」
「もう、迷惑かけられない」
 泣き笑いのようなナオの顔が視界に広がり、意識が遠のいた。