「ワタル、ナオは死ぬ……」
「え?」
 オレは、びっくりした。ナオの言葉にもびっくりしたが、ナオは泣いていた。ナオが泣いているなんて、会ってから初めてのことだった。
「……ナオ、とりあえず帰るぞ」
 オレは慰めの言葉が浮かんでこなかったので、ナオの細い腕を引っ張り、家へと向かった。
 家に着くまでお互いに何も話さなかった。
 何だか、不安になった。
 ナオが泣いているのは何故なんだ。
 聞きたいけど、聞けなかった。
「ワタル、ナオはこれから人間と同じになる」
 リビングのソファアに座るとナオはそう言った。
「人間になるって、どうゆうことだ?」
 そう聞き返したオレの声は情けないけど震えていた。
「ナオは、人間じゃなかった。でも、これからは人間になるんだ」
「どうして?」
「ナオには仕事があった。この星の調査が仕事の内容だった。この星に住めるかどうか調査して報告すれば、ナオは自分の星に帰るはずだった」
 オレはナオの向かい側に腰を下ろし、ゆっくりとうなずいた。ナオはやっぱり、オレとは違ったのだ。