道の真ん中に倒れている少女。

 ふと、人ごみに紛れて見失いそうになった映像。
 何度か瞬きをし、その映像が幻でないことを確認するために頬をつねった。
 痛い。
 これは、夢でも幻でもない。
「……」
 人の流れに逆らうようにオレはその場で足を止めた。
 ああ、やっと見つけた……
 やっと、会えた。
 会いたかった、ずっと。
「ナオ……」
 オレはかすれた声で、ナオに呼びかける。初めて会ったときと同じように反応はない。
 オレは人ごみを掻き分けながらナオに駆け寄った。手にはナオの好物のプリンを握り締めて。
「ナオ、いつものプリンだ」
 俺はそう言って、ナオの顔にプリンをそっと近づけた。