「離し……」
「僕が、先生を幸せにする。
先生を幸せにできるのは、僕だけだ。
あんな野蛮な男に先生を幸せにできるはずがないんだ」
言いながら掴んだ手に更に力を込めて、私の両手首を締め上げる。
キリキリと、そこに激しい痛みを感じて、余りの苦痛と恐怖に俯いて固く目をつぶった。
「先生? 僕を見て」
撫でるように私の顎に右手で触れて、クイと顔を無理矢理に上向けられる。
怖くて目が開けられない、赤根くんを見られる訳がない。
逃げ出したい、早く彼から解放されたい。
「りっくん……助けて」
無意識にそんな言葉が私の口から零れた。



