全部、私からだった。 ~AfterStory~



「『何?』って……

 だから、私には好きな人がいて、彼ともうすぐ結婚するの。
 運命だとかそんなこと言われてもどうにもできない、困ってしまう。
 ほんとに困るの。ごめんなさい。

 赤根くんの気持ちに、私は応えられない」

 言い終えたら、赤根くんの顔からたちまち笑みは消え失せた。
 そしてその視線は、フッと私の左手薬指に落ちる。


 りっくんから貰った婚約指輪をしきりに見詰めながら、赤根くんは微かに顔を歪めて静かに呟いた。

「先生は間違いを犯した。
 だから僕は決めたんだ、手遅れになる前に先生を救い出そうって。

 本当は、先生に見合う立派な大人になってから迎えに行くつもりだった。
 でもそれじゃあ遅いんだ、だからこうして……」

「何言ってるの?
 わかんない、ぜんっぜんわかんない」