「え……ええ、そうね、ごめんなさい」 申し訳なさそうに苦笑しながらそう言うと、ハインリーケさんはそそくさと部屋を出て行った。 何故、彼女が謝るのか。 実の息子にあんな態度をとられたら、謝るどころか普通だったら叱りつけるんじゃないの? 何? この親子。 気持ち悪い。 見ていて不愉快だ。 「先生、食べよう。 このクッキー凄く美味しいんだ、食べたことある?」 さっきの剣幕が嘘のように、赤根くんは朗らかに微笑んで言い、ソファーに腰を沈める。 異様な空気が漂っていて、頭の中が混乱する。