全部、私からだった。 ~AfterStory~



「まだ早いから、りっくんは寝てて」

 耳元で囁いて、そのまま頬に一つキスを落とす。


 もちろん、りっくんが着替えを持ってきているはずもなく。
 窮屈なスーツは着ずに、パンツ一丁で布団にくるまっている。

 りっくんの身体は燃焼系だからだろうか、ちっとも寒くないのだそうだ。


 私は腹巻きをしていても寒いのに。
 今も赤地に黒い小さなハートの模様がちりばめられた腹巻きをしている。

 とても可愛いのに、昨夜これを見たりっくんは、普段そんなに笑わないくせに、しつこいぐらいに散々笑い転げ続けたのである。

 正直ムカついた。



 ふと、布団からチラと覗いている隆起した三角筋に目が留まる。

 例えりっくんが眠っていても、モリモリの筋肉は休ませて貰えないのかな、なんて。
 そんなくだらないことを思って無意識に笑みがこぼれた。