「飯できた。
 こっち運ぶか?」

 緩くウェーブがかった肩にかかる髪を、右手でそっとすくいながら言い、そのまま私のうなじを支えた。

 そうして私の唇にりっくのそれがふわりと触れた。

 切なげな瞳が、何か物言いたげにじっと私を見詰める。

 小さな炎が身体の奥深くでチリチリと燃えているように感じて下腹が熱い。
 

 隠し事なんかしたくないけど。
 でもこれ以上、心配や気苦労をりっくんにかけたくないという気持ちの方が大きくて。


 私の中で熱を持ったそれが、そんな罪悪感からなのか、ただただ、ひたすらにりっくんを求めてのものなのか、それとも全く別の何かなのか。
 自分でも良くわからなかった。



「うん。私も手伝う」

 軽快に口にして、勢い良く立ち上がった。