全身の熱がサーっと引いていくような感覚に襲われた。 気味の悪い悪寒に、思わず両腕で自分の身体を抱きしめた。 赤根くんが私のキーケースを? どうして? 最寄駅からついて来たあの不気味な足音も、もしかして…… いいえ、私が電車を降りた時、自分が降りるのはこの二つ先の駅だから、と赤根くんは車内に残った。 発車する電車の窓から私に向かって手を振る赤根くんを、確かに私も手を振り返して見送った。 どういうこと? 今、私の身に一体何が起こっているのだろう。 全然わからない。