りっくんの手料理なんか食べたことないから、ほんの少し不安が過ぎる。 けれど、一応りっくんも一人暮らしだし、当然自炊もしているはずだ、大丈夫、と自分自身に言い聞かせた。 それより何より、そんなりっくんの気持ちが嬉しかった。 「やった、嬉しい。 今開けるね」 気持ちにリンクして声も弾ませ、鞄の中をゴソゴソ弄った。 けれど―― 鍵が見付からない。 どういう訳か、鞄に入っていたはずの部屋の鍵が、キーケースごと忽然と消えていた。