などなどゴチャゴチャ考えつつ走り続けたら、気付けば自宅マンション前まで辿り着いていた。
階段を上る直前、もう一度振り返って辺りを見回す。
シンと静まり返っていて、人の気配もない――気がする。
濃い闇の中、ただ、街頭の寂しげな灯りがアスファルトをぼんやり照らしていた。
このマンションはかなり古い。
だからオートロックのドアとかエントランスとか、そんな物一切なく、いきなりコンクリートの階段。
その横には全部屋のポストが並んでいる。
一応ポストには鍵が付いているけれど、防犯設備なんか無いに等しいこの無防備さ。



