全部、私からだった。 ~AfterStory~



 そんな仕草が可愛くて仕方がない。
 何を言ってもやっても、りっくんは愛しい。

 その存在自体が果てしなく愛しいから当然なのだけど。



 こんな風に優しくて穏やかな幸福感に浸っていると、堪能する前にりっくんが必ずと言っていいほど邪魔してくる。

 私の身体に巻き付けていた腕をスルリと呆気なく解き、代わりに両脇をガシと横から掴んで引き離された。

 寂しくて泣きそうになるけれど、グッと堪える。


 激甘も激辛も。
 私にくれるのはいつだって、りっくんただ一人だ。


「信用できる鍵屋に頼めよ。
 そうだなぁ……ああそうだ、持田金物店にしろ。
 俺の知り合いだし、な? そうしろ」

 真っ直ぐ私の目を見詰め、酷く真面目くさった顔でりっくんは言った。