寝起きだからか、足元がふらついて身体がグラリと傾いた。
そんなの全然大したことじゃないのに、りっくんは大慌てで私の腰を両腕で抱き留める。
「大丈夫か?」
心配そうに見下ろすりっくんの視線がジリジリと熱い。
「うん、平気。
りっくん、大袈裟だなぁ」
照れ隠しにそんな言葉を返しつつ、どさくさ紛れに私もりっくんの背中に両腕を回してベッタリと抱き付いた。
「合鍵作っとくね」
りっくんの首筋に埋めていた顔を上向けて、唇が耳たぶに触れるギリギリの距離で小さく囁いた。
耳元を撫でた息がくすぐったかったのか、フッと空気を漏らすような笑いをこぼし、りっくんは左肩を僅かにすぼめた。



