全部、私からだった。 ~AfterStory~



 徒歩1分の場所にコンビニあるのにな。

 それぐらいの時間、別に施錠しなくたって平気なのに、って思うけれど、りっくんの愛を感じて、うっかり心が弾んでしまった。



「カツ丼。
 多恵も好きだろ?」

 得意気な笑顔を浮かべたりっくんの一言で、再び現実に引き摺り戻された。
 レディの食事――しかも夜食に、なにゆえカツ丼をチョイス?


 刑事だから?


 咄嗟に思いついた理由に、いやいや関係ないし、と自分自身否定する。

 好きですけど。カツ丼大好物ですけど。


「あ……うん。好き。
 ありがと、ね……」

 取り敢えずお礼を口にすれば、りっくんは満足そうに微笑んで小さく頷くと、おおむろに立ち上がった。

 私も慌てて立ち上がる。