「帰っちゃうの?」
「ん、また呼び出し食らって」
りっくんは申し訳なさそうに苦笑する。
またりっくんの仕事に愛し合う私たちは引き離されるのね、と嫌でも憂鬱になる。
「ご飯は?
……って言っても、もうこんな時間だけど」
「ああ、出前取って俺先に食った。
多恵のもあそこに置いてある」
座卓の上を目で指すので、私もそちらに視線をやれば、きちんと蓋をされた丼と小さなお椀(もちろんこちらも蓋付き)が仲良く並んでいた。
「わざわざ出前なんか取ったの?
コンビニ弁当とかで良かったのに」
「お前一人ここに置いて出れねぇだろ。
俺、鍵持ってねぇし」
ああ、そうか。
心配性だなぁ、りっくんは。



