全部、私からだった。 ~AfterStory~



 ああ、駄目だ……
 身体が有り得ないほど熱を帯びて、トロけて融けてしまいそう。


 名残惜しそうに軽く食んでから、小さなリップ音を立てて離れたりっくんの唇は、

「てかお前、バッチリ起きる必要ねぇんだわ。
 俺、帰るってこと伝えたかっただけだから」

 間髪入れず突然に、軽快な言葉を刻む。


 一気に現実に引き戻された。
 甘い夢心地が台無しだ。

 何てことしてくれるんだ、このムードぶち壊しワイルド野郎。



 部屋の壁掛け時計に視線をやれば、午前1時25分、既に日付は変わっていた。

 そっか、結局ご飯も食べずに私、あれから爆睡してしまったんだ。
 りっくんはずっと一人で起きていたんだろうか。

 だからって、今更帰らなくても。
 泊まってくれればいいのに。