全部、私からだった。 ~AfterStory~



「今度から?
 まだ私の頭ん中は寝てるよ?
 まだ間に合うよ?」


 私の中がりっくんへの『好き』で、破裂しそうなぐらい満タンになって。
 私の方がもの凄くキスがしたくなってしまって。

 でも怒ってしまった後だから何となく素直になれず、そんなちっとも可愛くない言葉でりっくんを誘ってみたり。


 りっくんは左手を私の頭の後ろに回し、そうして後頭部をふわりと包み込んだ。
 愛しげに私を見下ろす眼差しは妙に色気があって、下腹が疼きだして困る。



「多恵、起きろ」

 上から目線の命令系。
 なのにその声は蜂蜜以上の甘い響きを帯びていて、頭の中がグラリと揺れた。


 ゆっくりと勿体ぶって重ねられた唇に、更に意識がフワフワと身体から離れてどこか遠くを彷徨う。