ベッドから降りて、絨毯の上にお尻を落として折った両足を抱え込んだ。
そうして隣のりっくんを見上げれば、未だ困ったような苦笑を浮かべたままだ。
「これで起こしてくれれば良かったのに」
言いながら、右人差し指でりっくんの唇にそっと触れた。
「そしたら、さいっこーに快適な目覚めだったのに」
私がニッと笑って見せると、りっくんはホッとしたように一つ小さく息を吐き、そうして満面の笑みを浮かべた。
「今度からはそうするな。
ホントごめん、多恵」
と、また謝る。りっくんは悪くないのに。
私が勝手に気分を害して、プリプリ怒っているだけなのに。
いつもそうだ。
りっくんはこうやって、私の我儘を当たり前の様に許してしまう。



