「ごめん」

 りっくんは悪戯を見付かった子どもみたいに、バツが悪そうに苦笑を浮かべて謝った。


「多恵があんまり気持ち良さそうに寝てるからさ、大自然の奏でる心地よい調べで快適な目覚めを演出しようかと……」

「全然快適な目覚めじゃなかったよ!
 それにどこが大自然の調べよ。
 最後の何? ニワトリ?
 ヤツラは大自然とは無縁だしっ、思いっきり人間に飼われてるしっ、しかも営利目的でっ」


 怒り任せに捲し立てれば、りっくんは「うん、だな、ごめん」とまた謝って、シュンと目を伏せ俯いてしまった。


 ああ、また私の暴言癖でりっくんを傷付けた。

 りっくんが相手だと、どうしてこうも自分の感情がストレートに出てしまうのだろう。
 そしてぶつけてしまうのだろう。