全部、私からだった。 ~AfterStory~



「僕を騙したな」

 カチッカチッと。
 何度も何度も引き金を鳴らしながら、赤根くんはクシャクシャの顔で悔しそうに言う。


「ああ、騙したさ、けど騙される方も悪いわな」

 そう平然と返しながら、りっくんはゆったりと落ち着いた動きで、床に落ちているカッターナイフと折り畳み式ナイフを順に拾い上げた。


「あんた、散々格好つけたこと言っといて、全部ハッタリかよ。
 死ぬ度胸なんかない癖に、大口叩きやがって。
 あんたこそ……あんたこそヘタレじゃないか。
 正々堂々勝負してないのは、あんたの方だ」


「何とでも言えよ。
 俺は交渉専門じゃねぇからな、お前を説得できる訳ねぇーだろーが。
 『死ぬ度胸』? ふざけんな。
 そんなもんに何の価値があんだよ? お前バカじゃねぇの?」


「開き直るのか?
 最低だな、あんた」

 先ほどの悔しそうな表情から一変して、今度は呆れたように嘲笑を浮かべて赤根くんは言う。