両目を固くつぶって俯き、頭を抱え込んだ。 何も見たくなかった。 全てが『お終い』だと思った。 もう何もかも。 そして―― 私は全てを失うんだ、と。 りっくんを失うことは全てを失うことだ。 今の私にとって、りっくんが全てだから。 ピアノ講師の仕事なんか、どうだっていい。 ピアノなんか、いつだって弾ける。 弾きたい時に弾ければそれでいいから。 けれど。 銃声が響くことはなく、代わりにカチッと乾いた音が小さく鳴った。