全部、私からだった。 ~AfterStory~



「どうして……それを?」

 動揺したのか、赤根くんの瞳が忙しなく動く。


「悪いがお前のこと、調べさせて貰った。
 一位の該当者は無しだから、お前、実質二位じゃねぇか」


「わかったようなこと言うなって言ってんのに。
 一位じゃなきゃビリと同じだ、何でそんなことまで僕に言わせるんだよ?」


「けどお前は、精一杯頑張ったんだろ?
 中学生の部とはいえ、日本一を決めるコンクールだ。
 並大抵の努力じゃ三位なんて取れねぇはずだろ?
 俺の想像なんか遥かに上回る、血の滲むような努力をお前はしたはずだ」


「努力したところで、結果が出せなきゃ意味がない。
 認められなきゃ、努力した事実なんか何の価値もないよ。
 努力してないやつと一緒さ。
 才能がなきゃ、どんなに努力したって報われない。
 だから、全てがバカバカしくなった、嫌になった」