「してねぇよ。
誰だって、何だって、最初は初心者だ。
お前がやらかしたのは、自然で極当たり前の失敗だ。
それをバカにするとか、意味わかんねぇわ。
もしそれをお前が恥じてんだとしたら、俺はお前自体が理解できないね。
くだらねぇプライドなんか捨てろ。
恋愛は全力体当たりで挑め。
そんなクソみてぇなプライド、役に立つどころか邪魔になるだけだ」
「プライドなんか関係ない。
また先生にピアノを教わるなんて、そんなの無理だ。
僕は、ピアノなんか大嫌いだ、もう弾きたくない。
先生に近付くために、あの教室に入会しただけだ」
「本当にそうか?
ピアノのことなんか、俺には良くわかんねぇけどな、好きでもねぇピアノ、一日に何時間も弾き続けられるもんなのか?」



