全部、私からだった。 ~AfterStory~



「おら、どうした?
 受け取れよ」

 煽るような口調でりっくんが言った。
 それに腹を立てた赤根くんは、カッと顔を紅潮させ、りっくんの手から引っ手繰るように銃を奪い取った。

 私はようやく解放された。
 同時に、持っていたカッターナイフも赤根くんは手放したので、それはコトッと小さな音を立てて床に落ちた。



 そうして、
 赤根くんはりっくんに向かって両手で銃を構えた。


「赤根くん、お願いやめて……」

 ボソボソと蚊の鳴くような小さな声しか出ない。
 だから、赤根くんに聞こえたかどうかはわからない。

 身じろぎもせず、ただジッとりっくんを見据えている。
 銃口をりっくんに向けたまま。