全部、私からだった。 ~AfterStory~



「いや、言い切れる。
 無理だ、お前は俺には勝てねぇ。
 それもわかってんだろ?
 お前はそこまでバカじゃねぇもんな?」

「勝てるさ、あんたなんかに僕は負けたりしない」

「いいや、勝てねぇ。
 何故なら、正々堂々勝負してないからだ。
 金で人雇って、卑劣な手ぇ使って……そんなんで俺と勝負した気になってんのか?
 だとしたら大間違いだ。
 大人をなめてんじゃねぇぞ。
 お前なんかなぁ、まだ俺と同じ土俵にも上がってねぇわ」


 りっくんの燃えるように熱い眼差しが、赤根くんを鋭く射抜く。
 けれどもどこか、優しい光を含んでいて。

 りっくんが、赤根くんのことを想って罵倒しているのだと、今更気付いた。



「殺してやる。先生も、お前も、僕も。
 みんな殺してやる……」

 とうとう赤根くんは嗚咽を漏らし、そうしてしゃくり上げながら、憎しみの籠った声で吐き出した。