「うるせぇ、黙って聞けよ。
お前だって知りたいだろ？
わかんねぇんだろ？
自分が本当はどうしたいのか、何をすべきか……」
赤根くんは悔しそうに顔を歪め、けれども押し黙る。
「俺は多恵を愛してる、多恵も俺のことを愛してる。
もうわかってんだろ？
お前が今、強引に多恵を手に入れたとして、それでお前は幸せか？
多恵の気持ちはお前に向いてねぇんだぞ？
それでも満足か？
多恵は？ お前の愛する多恵も、それで幸せか？」
「今はね、確かに今はそうかもしれない。
でもいつか……」
「無理だな」
「何でっ！ 何でそんなこと言いきれるんだよ？」
もう……どうしてりっくんは、赤根くんの神経を逆撫でするようなことばっかり言うんだろう。
