りっくんが「今んとこはな」と言い足したので、再び気分は落ちる。
赤根くんが言うように、りっくんはもしかしたら本当に、野蛮な人なのかも知れない。
優しいのは私に対してだけで。
それは愛されている証拠だけれど、でもそれって、本当の優しさじゃないような気がする。
だから、何だか凄く残念に思った。
そんな私の気持ちなんか気にも留めず、りっくんは一方的に口を開く。
「いいか、俺が今からお前が本当に望んでることを教えてやる」
その挑発的な物言いは、当然だけど赤根くんの気に障ったみたいで。
「ふざけんな、何言ってんだよ?
お前に何がわかんだよ?」
赤根くんは激しい口調で言い返し、カッターナイフを握る手にキュッと力を込めた。



