全部、私からだった。 ~AfterStory~



 また赤根くんは、私の『悲鳴のような喘ぎ声』のことを持ち出してくる。


 首にピタリと貼りついている、カッターナイフの刃のひんやりした感触が恐ろしい。
 けれどそれ以上に、デリケートな部分に触れられたことが恥ずかしくて仕方がない。

 カッと顔が熱くなるのを感じ、助けを求めるようにりっくんを見詰めた。



「俺は乱暴なんかしてねぇよ。
 お前が聞いたのは、あれだ、女が男に愛された時に出す悦びの……」

 りっくんは遠回しに言っているつもりかも知れないけれど、逆に一段と生々しく聞こえる。

 余計に顔が熱くなる、燃えているようだ。


「そんなはずない! あれは喘ぎ声なんかじゃない、まるで……
 そう、まるで断末魔の叫びだった」

 赤根くんも躍起になって言い返す。