「お前なんかに渡すぐらいなら…… 先生を殺して僕も死ぬ」 肩を大きく上下させ、荒い息遣いの合間に赤根くんは唸るように言った。 「落ち着けって。 男同士、腹割って話そうじゃねーか」 言いながらりっくんは、肘を軽く曲げた両腕を、開いた状態でゆっくりと肩より少し低い位置まで挙げた。 「『返せ』だと? ふざけんな! 何様のつもりだ。 毎晩毎晩、先生に乱暴してるくせに。 お前みたいな野蛮な男と結婚したって、先生が幸せになれる訳がないんだ。 先生を幸せに出来るのは、僕だけだ」