その色素の薄い瞳に目を奪われた。
どうしようもなく惹きつけられてしまう。
漠然とした危機感が湧いてきて、逃れようと心では思うも、顔を逸らすことも視線を外すことすらできない。
彼には、危険な魅力がある。
「先生のように、心から楽しんでピアノを弾きたい。
平澤先生は、僕の憧れなんです」
そう言って赤根くんは、先ほどとは打って変わって今度は子どものような無邪気な笑顔を見せた。
胸が高鳴った。
何なのだ、この現象は。
それにしても――
私の演奏を一体どこで見たのだろう。
けれどこれ以上彼と会話をするのは躊躇われて、深く追求せずに聞き流すことにした。
そうして結局、
断りきれずに彼の担当を引き受けてしまったのだ。



