「大切な家族? 冗談じゃない。
この女は僕たちの仲を引き裂こうとしたんだよ?
母親なら息子の幸せを願うもんだろ?
それなのに、この女は奪おうとしたんだ、そんなの母親でも家族でもないだろ?
死ねばいいんだ。
さっさと死ね」
最後は、横たわるハインリーケさんに向かって吐き捨てた。
感情も何もない無表情は、血の通った人間だとはとても信じがたいほど冷たい。
どうしよう。
もう、さっきからそればっかりで嫌になる。
「でも……でもそれは、赤根くんのことを大切に想ってるからでしょ?
きっと、私なんかじゃハインリーケさんは嫌なのよ。
赤根くんに相応しいのは、私みたいな平凡でつまらない女じゃなくて、もっと……」
思いつく限りの言葉を口にしてみるけれど、イマイチ説得力がない。



