「先生、ほんとにあなたって人は手が掛かる。
誰も助けになんか来ないよ?
いい加減、認めたら?
先生を守れるのは僕しか居ないってことを」
やけに落ち着いた口調は、この緊迫した空気には全く似合わず、プカプカと浮かんでいるように感じた。
恐る恐る振り返ればそこに、赤根くん。
ゆったりとした動きで、ジリジリと歩み寄るその姿は、恐ろしいほどに不気味で全身に戦慄が走る。
私にはりっくんが居る。
りっくんがきっと助けに来てくれる。
私を守れるのは、他の誰でもない、
りっくん、ただ一人だ。
けれど、それを口にして赤根くんの神経を逆撫でするのは、とても危険な気がした。



