逃げようって、どこへ? それに、運転免許など当然持っていない赤根くんが、どうやってここまで来たのだろう。 「赤根くん、 ここへはどうやって?」 突如湧き上がった疑問をそのまま口にした。 「もちろん、車だよ」 赤根くんが振り返るようにして差した指の先には、見覚えのある車。 ログハウスの前に横付けして停まっている真っ黒なセダン、その運転席には―― あの感じの悪い不気味な中年男。 確かハインリーケさんは彼のことを『私が雇っている運転手』と言っていた。