全部、私からだった。 ~AfterStory~



「先生、逃げよう。
 ここは危険だ」

 赤根くんは立ち上がると、ほんの少し身を屈め、私に向かって右手を差し出した。

 迷わずその手を取れば、グイと力強く引っ張っられ、ほとんど自分の力など使わず私は立ち上がった。


 そのまま赤根くんに手を引かれて階段を上る。


 ああ、これで助かる。

 まだまだ拭いきれない不安はあるけれど、拘束され地下室みたいな場所に閉じ込められていたことを思えば、随分状況は好転したような気がする。



 開けっ放しになっている出口を抜ければ目の前に、さっきまで私が居たログハウス。

 裏の玄関から入ったのだけど、こんな地下室があったなんて、全く気付かなかった。