全部、私からだった。 ~AfterStory~



「赤根くん。
 酷いこと言ってごめんなさい。
 わたし、わたしね……」

 私が赤根くんにしたことは、謝って済むほど軽いものじゃない。

 拙い残酷な言葉で拒絶し、成長途中の不完全で危うい赤根くんの心を、きっと深く傷付けた。
 だから、言葉に詰まってしまった。



 けれど、赤根くんは嬉しそうに微笑んで、

「いいんだ、先生がわかってくれたなら、それで。
 僕はそれだけで充分」

 言って、愛しそうに私の髪を撫でる。

 妙に大人びたその仕草のせいか、無邪気な笑顔もどこか妖艶で色気があって。

 赤根くんはやっぱり『男』なんだ、と意識せずにはいられない。