全部、私からだった。 ~AfterStory~



「すごく美味しい……」

 感嘆の声を漏らす私に、彼女は満足げに微笑み、

「そうでしょう?
 私の一番のお気に入りですもの」

 とても愉しげにそう言った。



 けれど――

 急に頭がとても重く感じて、座っていることさえしんどくなった。
 意識がフワフワと不安定に揺らめき、視界がぼやける。

 最初、急に発熱でもしたのかと、自分の体調を疑った。


 いいえ違う。
 これって発熱なんかじゃなくて……



 身体に酷い怠さを感じて、全身から一気に力を抜き取られたように感じた。

 頭の重さに耐えきれなくなって、上体がポサッとソファーの上へ落ちる。