昨日私は、赤根くんを激しく拒絶して、そうしてレッスンも放って彼の家を飛び出した。
その後、赤根くんはハインリーケさんに八つ当たりして。
服で隠れているから見えないけれど、もしかしたら彼女、身体にも酷い暴行を受けているかもしれない。
それでハインリーケさんはご立腹で、私は謝罪するようここへ呼ばれた訳で。
それなのに、まるで来客をもてなすような、彼女の親しげな態度は一体何故なのか。
わからない。理由も目的も何もわからなくて、ただ怖い。
しばらくして戻って来たハインリーケさんは、白い湯気を立ち上らせたティーカップを、それとお揃いのソーサーの上に載せ、テーブルの上にコトリと置いた。
そして、自分用にもう一組。



