「ああ、申し遅れました、わたくし、赤根ハインリーケさんの使いの者です。
田淵と申します、以後お見知りおきを」
言葉は丁寧だけれど、おどけた感じで言うから益々不愉快だ。
すごく感じ悪い。
嫌いだ、この人。
「信用できない」
「別に信用して頂かなくても構いませんけど?」
平然と返してきた。
何なの?
「信用できないから、一緒に行くなんて出来ないっていう意味です」
「ああ、そうですか。
では……」
言いながら懐に手を入れる。
銃でも出てくるのではと、たちまち恐ろしくなった。
すーっと背筋を冷たい感覚が走る。



