そっか……そうなんだ。

 私はりっくんのことは信じていても、自分を信じられないのだ。
 だから、りっくんの提案を素直に受け入れられないのか……

 しっかりしろ、自分!


「ごめん、わかった。
 そうだよね、私も自分を信じる。
 今の生徒さんたち大好きだもん。
 お別れなんてそんな寂しいこと、できる訳がないよ」

 言って私も笑ってみた。


「ん、だな。
 世の中、星の数ほど人も居て、そんな中出会うってほんと奇跡だろ。
 それを手放すのは勿体ねぇよ。
 そんなこと、俺が絶対にさせない」

 珍しくりっくんが真剣に語った。


 私に向けられている眼差しは、優しいけれど力強くて。
 私は心地良い安心感に満たされた。