全部、私からだった。 ~AfterStory~



「やっぱり盗聴されてたんだね。
 あんな声聞かれてたなんて、恥ずかし過ぎる。
 それに凄く気持ち悪い」

 言うと、りっくんは眉をハの字にして、酷く申し訳なさそうな顔で私を見た。
 りっくんのせいじゃないのにな。


「多恵、心当たりあんだろ?」

「うん。この前話した赤根くん。
 絶対彼だよ。
 赤根くんに、『あの男に乱暴されてんだろ?』って言われたから。
 私の……あの時の声を悲鳴と聞き間違えたんだよ。
 それで勘違いしてそんなこと……

 鍵を盗んだのも赤根くんだし。
 赤根くんは多分、家(ウチ)の合鍵も持ってる」

 私の中の赤根くんへの疑心すべてをりっくんに打ち明けた。


 もっと早くこうするべきだった。
 中途半端にりっくんに気を使って、余計に心配を掛けてしまった。
 迷惑も。