りっくんがわざとらしく、
「肉でも食って元気だせ、な?」
などと言ながら、有無を言わさず強引に、私を部屋から連れ出した。
連れてこられたのは自宅から徒歩20分ほどの居酒屋。
料理はボリューム満点、それなのに値段はリーズナブルという、お洒落では決してないけれどお財布に優しいお店だ。
『飲むし食う』のりっくんには正にピッタリで、私たちはちょくちょくここのお世話になっている。
けれど……
「肉って言ったのに」
腰を落ち着けるなり、不満げにボソリと呟いた。
大勢の客がギュウギュウ詰めの店内は、体育会系の若者、仕事帰りっぽいスーツ姿サラリーマンなどなど、圧倒的に男性客が占めている。
そんな中、運良くお座敷角の一席が丁度空いていて、私たちはそこへ案内された。



