服を着終えたりっくんは、ジーンズにTシャツ姿、しかも半袖。
私はもちろん長袖、その上にパーカーまで着ている。
同じ空間に居ながら、二人の感覚には季節二つ分の温度差がある。
不思議だ。
りっくんは部屋中をゆっくり隈無く眺め回した後、何も言わずに寝室の窓際へ移動した。
そして四つ這いになって、窓の横、下の方にあるコンセント差し込み口を覗き込んだ。
「りっくん?」
不思議に思って声を掛ければ、勢いよく振り返り、立てた右手人差し指を唇に当てて見せる。
その人差し指で今度は差込口を指差して、
『ここだ』
と、声は出さずに口の動きだけでそう言った。



