「当たり前だろが。
何べんでもあるわ」
「どんな時?」
「『どんな時』か……
仲間が目の前で死んでった時、とか。
無力な自分にうんざりして、俺も死にたくなる。
そんな時は、全てを放り投げて、どこか遠くへ逃げてしまおうかと思う。
俺、こう見えてヘタレだから」
言ってりっくんは、自嘲するような乾いた笑い声を漏らした。
そうだった、りっくんは私なんかよりずっと過酷な仕事をしている。
私はバカだ。
バカで愚かで間抜けだ。
謝りたいけれど。
『ごめんなさい』、そのたった一言が出て来ない。
りっくんの話を聞いたら、苦しくて、胸が詰まってしまって。



