またりっくんから顔を背けて壁側を向いた。
「りっくんに私の気持ちなんかわかんないよ。
私が今日、どれだけ酷い目にあったか知らないくせに。
赤根くん、酷いんだから、もう本当に酷いんだから」
思いついたままを口にするから、支離滅裂過ぎてちゃんと伝わったかどうか確信がない。
けれど、赤根くんのことについて深く追求することもせずりっくんは、
「そっか、大変だったな、お疲れさん」
あっさりとした労いの言葉だけを寄越した。
本当にわかっているの? と。
何だか不完全燃焼で、今度は出所不明の変な不満が込み上げてくる。
振り返らずに黙ったまま、ブスッと膨れていると、りっくんが私の隣に身体を忍ばせてきた気配を感じた。



